流浪の月
著者:
凪良ゆう
出版社:
東京創元社
今回紹介する小説は「本屋大賞2020」の大賞受賞作。4月7日に大賞が発表されましたが、新型コロナウイルスの影響で毎回全国の書店員が集まって賑やかに開催される発表会は中止され、さらに発表当日が非常事態宣言発出日と重なってしまい、例年になくテレビ・新聞などでの報道が小さくなってしまいました。ここであらためて紹介させていただきます。
男性同士の恋愛を描く「ボーイズラブ(BL)」ジャンルの作品を長く手掛けていた著書が初めて出した一般文芸単行本。「普通」や「善意」を他人から押し付けられ世間と折り合えない生き辛さを抱えた登場人物の物語を、BLという型にはまった様式美の世界から解放されつつ、BL作品で培った繊細な心理描写で綴った傑作です。
派手な行動が取りにくい昨今、自宅でゆったり時間を取って読んでいただきたい1冊です。
(2020/04/20おわり)