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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2023/07/25 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

影との戦い ゲド戦記1

著者:アーシュラ・K.ル=グウィン:著清水真砂子:訳

出版社:岩波書店

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影との戦い  ゲド戦記1

今回は、子どもに『ゆっくり読んでるね?』『今どれくらい?』と読んでる間何度も聞きにこられました。
そんなに分厚くない、子ども向けの本をわたしが長い時間をかけて読んでいるのがよっぽど不思議だったようです。なんか本読むの早いと思われてる…。

そう。この本はゆっくり読んでるよ。


実は、子どもの頃何度か読みかけて挫折してしまっていたゲド戦記。硬質なファンタジー世界に馴染めなくて弾き出されていました。
あの頃最後まで読めていたらどんな感想を持っただろう。いつものように勢いに任せてあっという間に読み終えてしまったのではないだろうか。

ストーリーだけでなく、さまざまな情景ひとつも、読み飛ばしてしまうことはできない。
言葉をひとつ読むごとに理解できるよう何度も立ち止まって考えました。
何を見て、何を学び、何を行うべきか。そして力を知り、それをどうやって手放せるのか。おのれを裁く恐ろしさに何度もページをめくる手が怯む。
もっと昔にこの本を読んでいるべきだった。
わたしは魔法使いの修行を、もっと早くに行うべきだった。
でも、もう絶望的に遅いってことはなさそうだ。
きっとこの世のなにもかも。

ゲドの見るもの、見えていなかったもの。
わたしがこの年になってやっと見えてきたもの。
魔法使いの出会いに、偶然なんかない。
きっと今読み始めたのにも、わたしには今じゃなきゃわからないことがあったからだろう。
この物語の一文字一文字どれも取りこぼせない意味があって、一冊まるごとがひとつの呪文なのだと思いました。

ゆっくり時間をかけてこの本をわたしに染み込ませて、新しい魔法が芽生えるのを待とうと思います。
その時期がくるまで。


と、言うわけで、今年の夏は『ゲド戦記』シリーズを読むぞ~っ!!




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