2022年12月25日彼女は手術を受け、永遠に老化しなくなった。
彼女を永久に25歳のまま生かそうと決めた父をはじめに、家族は一人ずつ先に死んでいく。
そうして2123年10月1日、ひとりになった彼女は家族史を書き始めます。

今からおよそ100年先まで生き続ける、彼女のこれまでを振り返り、そしてそれからが描かれる物語です。


老いるのはいやですね。
死ぬのはもっといやだ。
でも本当は、ゴールがないことは地獄なんじゃないかって、みんな気づいてる。
嫌なことも、いいことも、ビュンビュンとばす時間のスピードに振り落とされてって、ポロポロ忘れていく。
そういうのが本当は救いなんじゃないかって。

100年後は、なーんにもないよ！
悩んだりしてる時に言ってもらえると胸が軽くなる言葉です。友達に肩を叩かれながら言われたい。
でも、彼女はその、なーんにもなくなってしまう、今の世界を何一つこぼさずに覚えているままに、たったひとりでそこに立つのです。なーんにもなくなった跡地に。
愛も憎しみも何もなくなった後に。